九州を中心に大型ディスカウントストアを運営する「トライアル」が4月12日にグロース市場に上場します。
正式には「トライアルホールディングス(5882)」の上場です。
”和製コストコ”と言われたりしますが、設立自体はコストコの1983年よりも早く、1981年に設立しています。
福岡県に1号店を開店して以来、現在は全国274店舗にまで拡大しています。
僕自身トライアルは外国企業と思っていたのですが、日本企業だったことに驚きです。
そんなトライアルについて業態や業績等をまとめてみました。
トライアルのビジネスモデル
店舗型の超大型ディスカウントストア
業務用の大容量鶏肉や野菜などを格安で販売する超大型ディスカウントストアです。
食料品だけでなく、衣類や日用品、電化製品など豊富な製品扱っています。
セグメント別の販売実績を見ると、食品が7割以上を占めています。
したがって、食料品がメインだということが分かります。
データ・IoTによる最適化
トライアルはデータ、IoTを駆使した施策により、高い販売力を得ているのが強みです。
生鮮食品ともなれば売れなければすべて価値ゼロのゴミとなってしまいます。
それを避ける上ではいかに効率よく多くの製品を売りさばくかが重要です。
そのためにデータとIoTを活用しているわけです。
小売店といってもどこに商品を陳列すべきなのかや、店内の曲、温度、広告位置、デザインなどなど。
様々な要因によって、顧客の購入意識が変わっていきます。
また店舗によっては売れる商品にも傾向があります。
それらデータを蓄積し、分析に基づく施策を行う。さたに施策で得られたデータをフィードバックするということです。
こうして最適化された店舗、流通網を確立しているのがトライアルの大きい特徴です。
元々はソフトウェア構築とパソコン販売を生業としていたこともあり、流通向けのITシステムを開発していたようです。
そういった経緯もあり、データとIoTに長けているわけです。
会社とは時代のニーズや自らの強みに合わせて進化してくことが重要ですね。
トライアルの業績
業績は絶好調で22期連続増収となっています。
円安やインフレによる原価上昇が不安を覚えます。しかし、徹底した原価管理を行っていることから、販管費および一般管理費は前連結会計年度と大きな変動はないようです。
むしろ2022年7月~2022年12月31にかけての四半期機関における売上原価は、前年同期と比較して1.1%減少しているということに驚きです。
経常利益も前期比で増益となっています。
注意しなくてはいけないのが、今回の上場は持株会社である「トライアルホールディングス」だということです。
大型ディスカウント事業のトライアルカンパニーの業績だけ見ていればいいというわけではありません。
ホテル事業やAIリテール事業なども業績に絡んできます。
第8期(2021年7月1日~2022年6月30日)のセグメント別の売り上げ高と営業利益は次の通りです。
事業 | 売上高(百万円) | 営業利益(百万円) |
流通小売事業 | 596,741 | 14,978 |
リテールAI事業 | 432 | △1,820 |
その他事業 | 478 | △346 |
ご覧の通り、リテールAI事業とその他事業(ホテル宿泊事業)において赤字が出ています。
リテールAI事業の損失については、スマートショッピングカートといったプロダクトの研究開発費や、人材採用によるものとされています。
まとめ
福岡を発祥にソフトウェア構築・パソコンの販売から事業を始めた現トライアルについて取り上げてきました。
今では想定時価総額2400億円越えの上場企業へと進化を遂げました。
僕の住む熊本にもいくつか店舗があるので行ってみたいものです。
トライアルの今後のさらなる成長に期待しましょう。
上場延期中止のお知らせ
2023年4月3日にトライアルの新規上場延期のお知らせがありました。
詳細は次の通りです。
https://search.sbisec.co.jp/v2/popwin/info/ipo/5882_230403.pdf
参考:https://search.sbisec.co.jp/v2/popwin/info/connect/ipo/202303082102.pdf
同日に新規上場する「ispace」についてはコチラも見てみてください。
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